「ちゃんと指示したのに、部下がやってくれない…」
新人リーダーなら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
私自身もリーダーになった当初、何度も同じ悩みに直面しました。
「頼んだのに進んでいない」「思った結果と違う」──そのたびに「部下がやる気がないのか?」と不安になったものです。
でも実際は、部下が悪いのではなく、私の“指示の出し方”に問題があったのです。
「言った」と「伝わった」は大きく違う。
リーダーとしては、伝わるまで責任を持つことが大切だと気づかされました。
この記事では、部下が動かないときにありがちな誤解と、部下が自然と動き出すための指示のコツを紹介します。
指示が伝わらないときに陥りがちな誤解
部下が動いてくれないとき、リーダーはつい「部下のやる気がないせいだ」と考えがちです。
しかし、多くの場合は“指示の出し方”に問題があります。
ここでは、新人リーダーがやりがちな誤解を3つ紹介します。
「言ったから伝わっているはず」
一番多いのは、「ちゃんと説明したから伝わっているだろう」と思い込んでしまうケースです。
実際には、部下が理解した内容とリーダーが意図した内容にはズレがあることが少なくありません。
「言った」と「伝わった」は大きく違う──ここを意識できるかどうかが、リーダーとしての第一歩です。
「細かく言うのはパワハラになるのでは…」と遠慮してしまう
「細かく伝えたらうるさいと思われるのでは?」と心配し、指示を大まかに済ませてしまうこともあります。
結果、部下は「どこまでやればいいのか」「何を優先すべきか」が分からず迷い、動けなくなります。
丁寧に伝えることはパワハラではありません。むしろ、部下を不安にさせないための配慮です。
「自分で考えてほしい」と放任してしまう
「リーダーなら部下に考えさせるべきだ」と思い、ほとんど指示を出さないケースもあります。
もちろん主体性を育てることは大切です。
しかし、最初の道筋を示すのはリーダーの責任。
放任と任せるはまったく別物です。
✅ 小まとめ
部下が動かない原因は、
- 「言った」で満足してしまう
- 遠慮して大事なことを伝えきれない
- 放任と任せるを混同してしまう
この3つに集約されます。
リーダーは「伝える」ことではなく「伝わる」ことをゴールにすべきなのです。
部下が動く指示の基本
部下が動かないのは、やる気がないからではなく、リーダーの指示が不十分だからというケースが多くあります。
シンプルですが、次の3点を押さえるだけで部下の動きは劇的に変わります。
① 目的を伝える:「なぜそれをやるのか」
人は理由が分からないままでは動けません。
「なぜこの仕事が必要なのか」「全体の中でどういう意味があるのか」を伝えることで、部下は仕事を“自分ごと”として捉えられるようになります。
目的が伝われば、細かい判断を任せてもブレにくくなります。
② 成果を明確にする:「何をもって完了とするのか」
「ちゃんとやっておいて」では、基準があいまいで誤解が生まれます。
リーダーは「これができていればOK」というゴールイメージを明確に示す必要があります。
- 提出物は何か
- どのレベルまで仕上げるのか
- どんな形でアウトプットするのか
こうした“完成イメージ”を共有することが、無駄な手戻りを防ぎます。
③ 期限を共有する:「いつまでに必要なのか」
期限がなければ、人は後回しにしてしまいます。
「来週までに」ではなく「○日の17時までに」という形で、具体的に伝えることが大切です。
期限を区切ることで、部下も逆算して行動しやすくなります。
✅ 小まとめ
部下が動く指示は、
- 目的(なぜやるのか)
- 成果(何をもって完了とするのか)
- 期限(いつまでに必要なのか)
この3点セットで伝えることです。
シンプルですが、これを徹底するだけで「伝えたのに動かない」という悩みは大きく減ります。
私自身の失敗と学び
私自身も、リーダーになったばかりの頃は「部下が動いてくれない」という悩みを何度も経験しました。
指示が曖昧で伝わらなかったケース
あるとき、部下に「この資料をまとめておいて」とだけ伝えました。
すると後日、「ざっくりしたメモ」が出てきたのです。
私のイメージしていた「読み手にすぐ説明できる完成度の高い資料」とはまったく違いました。
その瞬間、「伝えたつもり」になっていただけで、目的・成果・期限のどれも伝えていなかったことに気づきました。
「任せたらやってくれるだろう」と思い込んだケース
別のときには、「任せたんだから考えてやってほしい」と丸投げにしてしまったこともあります。
結果、部下は方向性に迷い、期日直前になっても仕上がらず、結局自分で巻き取る羽目になりました。
これは「放任」であって、「任せる」ではありませんでした。
改善できたのは「3点セット」を意識してから
そこから学んだのは、目的・成果・期限を必ずセットで伝えることの大切さです。
例えば「この資料は来週の会議で使うから、要点を3ページ以内にまとめて、金曜の17時までに仕上げてください」という形にしたら、部下のアウトプットは見違えるように変わりました。
お互いの認識が一致することで、信頼関係も深まっていったのです。
✅ 小まとめ
- 曖昧な指示は、曖昧な結果しか生まない
- 丸投げは「任せる」ではなく「放任」
- 目的・成果・期限を明確にすることで、部下は安心して動ける
私自身の失敗から学んだこの気づきは、今でも指示を出すときの基本になっています。
書籍から学べるヒント
「指示の出し方」に悩むリーダーは昔から多く、その解決のヒントは多くの書籍にもまとめられています。
私自身も以下の本から大きな学びを得ました。
『伝え方が9割』(佐々木圭一)
人を動かす言葉には「型」があると教えてくれる一冊です。
ただ「やってください」と伝えるよりも、相手にメリットがある形で伝えることで、部下の動きが変わります。
「お願い」ではなく「誘導」に変える。これが自然と行動を引き出すコツです。
『1分で話せ』(伊藤羊一)
長い説明よりも、シンプルで端的に伝える方が人は動きやすい。
「結論 → 理由 → 具体例」の順に話すことで、短時間でもしっかり伝わります。
忙しい現場での指示にこそ、このフレームワークが役立ちます。
『人を動かす』(デール・カーネギー)
人間関係の古典的名著です。
「誠実にほめる」「相手に重要感を持たせる」といった原則は、単なるテクニックではなく、相手を尊重する姿勢を教えてくれます。
指示も命令ではなく「一緒に進める」ためのコミュニケーションであることを思い出させてくれます。
✅ 小まとめ
これらの本に共通しているのは、
- 相手に伝わるように工夫する
- シンプルに伝える
- 誠実に尊重する
ということです。
リーダーの指示は「命令」ではなく、「チームを動かす言葉」なのだと気づかせてくれます。
今日からできる実践アクション
指示の出し方は、ちょっとした意識の違いで成果が大きく変わります。
今日からできる具体的なアクションを3つに絞ってご紹介します。
1. 指示は「目的・成果・期限」の3点セットにする
「これお願い」だけでは不十分です。
必ず「なぜ必要なのか」「何をゴールとするのか」「いつまでに必要なのか」を添えて伝えましょう。
これだけで部下の迷いは大幅に減ります。
2. 部下に「理解した内容」を言葉で確認してもらう
指示を出したら、「今の説明をどう理解した?」と聞いてみましょう。
部下が自分の言葉で復唱することで、認識のズレをその場で修正できます。
「伝えた」ではなく「伝わった」を確認する習慣です。
3. 実行後は「フィードバック」までワンセットにする
仕事を任せっぱなしにせず、完了後は必ずフィードバックを返しましょう。
- 良かった点はしっかり褒める
- 改善点は具体的に伝える
この繰り返しが部下の成長につながり、次回以降の指示もスムーズになります。
✅ 小まとめ
- 指示は3点セットで伝える
- 部下に理解を確認してもらう
- フィードバックまでワンセットにする
この3つを徹底するだけで、「部下が動かない…」という悩みは驚くほど減ります。
まとめ
部下が動かないのは、やる気がないからではありません。
多くの場合、リーダーの「指示の出し方」に原因があります。
- 「言ったから伝わっているはず」と思い込まない
- 遠慮しすぎて曖昧にせず、必要なことはしっかり伝える
- 放任ではなく、任せる姿勢を持つ
この3つを意識するだけで、部下の動き方は大きく変わります。
そして、部下が動きやすい指示には共通点があります。
それは 「目的・成果・期限」の3点セットで伝えること。
さらに「理解の確認」と「フィードバック」までをワンセットにすれば、信頼関係も強まり、チーム全体の力が上がっていきます。
私自身も、曖昧な指示で失敗した経験を繰り返す中で、「伝えた」ではなく「伝わった」をゴールにすることの大切さを学びました。
リーダーの役割は部下を責めることではなく、部下が動ける環境を整えることです。
今日から小さな一歩でいいので、ぜひ「指示の出し方」を見直してみてください。
それがチームを円滑に動かす第一歩となります。
📖 補足でおすすめの本:
- 『伝え方が9割』:言葉で人を動かすための型
- 『1分で話せ』:シンプルに伝える技術
- 『人を動かす』:信頼を築く人間関係の原則
これらを併せて学ぶことで、より実践的に「伝わるリーダー」へと近づけるはずです。
指示の出し方を見直すと、チームの動きが格段にスムーズになります。
でも、そもそもリーダーとしての“軸”がないと、伝える内容自体がブレてしまいます。
👉 リーダーのビジョンについて解説したこちらの記事に戻って、もう一度自分の軸を考えてみてください。
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