これだけは知っておきたい!新人リーダーのためのマネジメント基礎5原則とおすすめ書籍

マネジメント

初めてリーダーを任されたとき、多くの人がこう思います。
「マネジメントって結局、何をすればいいんだろう?」

部下との関わり方、チームの目標設定、仕事の進め方――
正解が見えないまま、毎日が手探り。
その中で「自分ばかりが忙しい」「チームが思うように動かない」と悩んでしまう人も少なくありません。

でも、焦る必要はありません。
マネジメントとは、特別な才能が必要な仕事ではなく、“基礎”を押さえれば誰でも伸ばせるスキルです。
重要なのは、小手先のテクニックよりも、どんな状況でも軸になる「原則」を理解しておくこと。

この記事では、新人リーダーがまず身につけるべき
マネジメントの基礎5原則を、実践的な視点から解説します。
これを知っているかどうかで、あなたの“リーダーとしての第一歩”が大きく変わります。


  1. 第1原則:信頼関係を築く ― 「人」は“信頼”で動く
    1. よくある悩み:「思ったように動いてくれない」
    2. なぜ信頼関係が土台になるのか
    3. 信頼関係を築く3つの行動
    4. 📚 関連書籍:『心理的安全性のつくりかた』(石井遼介)
    5. 次につながるヒント
  2. 第2原則:目的を共有する ― 「何のために」を明確にする
    1. チームがバラバラに動くのは“やり方”ではなく“方向”が違うから
    2. 目的共有の3ステップ
    3. 📚 関連書籍:『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)
    4. 次につながるヒント
  3. 第3原則:任せる勇気を持つ ― 「やる気」は任せてこそ育つ
    1. 「自分がやったほうが早い」――その一言が、チームの成長を止める
    2. なぜ「任せる勇気」が必要なのか
    3. 任せるための3つのステップとポイント
    4. 📚 関連書籍:『1分で話せ』(伊藤羊一)
    5. 次につながるヒント
  4. 第4原則:成果ではなくプロセスを見つめる ― 評価ではなく成長を見る
    1. 「結果ばかり見てしまう」新人リーダーの落とし穴
    2. 結果だけを見続けると、チームは疲弊する
    3. プロセスを見る3つのポイント
    4. 📚 関連書籍:『フィードバック入門』(山本真司)
    5. 次につながるヒント
  5. 第5原則:自分を整える ― リーダーは“鏡”である
    1. チームの空気は、リーダーの心の鏡
    2. 自分を整える3つの習慣
    3. 📚 関連書籍:『成長マインドセット』(吉田行宏)
  6. まとめ:5原則を通して見えてくる「リーダーの本質」

第1原則:信頼関係を築く ― 「人」は“信頼”で動く

よくある悩み:「思ったように動いてくれない」

リーダーになったばかりの頃、こんな悩みを感じたことはありませんか?
「何度言っても動いてくれない」
「報連相が少なくて不安になる」
「自分の思いが伝わらない」

多くの新人リーダーがここでつまずきます。
でも、それは“指示が悪い”のでも“部下がやる気がない”のでもありません。
信頼関係がまだ十分に築けていないだけなのです。


なぜ信頼関係が土台になるのか

人は、信頼していない相手の言葉には本気で耳を傾けません。
逆に、信頼している相手からの言葉なら、たとえ厳しい内容でも素直に受け取ることができます。

つまり、信頼とは「相手の行動を支える見えない土台」。
この土台がないままマネジメントを始めても、どれだけ正しいことを言ってもチームは動きません。


信頼関係を築く3つの行動

  1. 約束を守る
     小さなことほど大切。「後で話そう」と言ったら必ず話す。
     “言葉と行動の一貫性”が信頼をつくります。
  2. 相手を否定せずに受け止める
     間違いや失敗を頭ごなしに責めず、「なぜそう思ったのか」を聞く姿勢を持つ。
     相手が安心して話せることで、心の距離が縮まります。
  3. 「ありがとう」を惜しまない
     当たり前の仕事ほど感謝を忘れがち。
     感謝の言葉は、信頼を積み重ねる最もシンプルで強力な手段です。

📚 関連書籍:『心理的安全性のつくりかた』(石井遼介)

信頼関係を築くうえで、ぜひ一度読んでおきたいのがこの一冊。
この本では、チームのメンバーが安心して意見を言える状態――「心理的安全性」の大切さが解説されています。

心理的安全性があるチームでは、失敗を責め合うのではなく、学び合う空気が生まれます。
それこそが、信頼を深める最も確実な土台です。


次につながるヒント

もちろん、信頼関係だけでチームが動くわけではありません。
人の“想い”を支えるのが信頼なら、行動を安定させるのは“仕組み”です。

信頼と仕組み――この2つが揃ってはじめて、チームは自走するようになります。
この「仕組みで動かすマネジメント」については、別の記事でじっくり紹介していきます。


第2原則:目的を共有する ― 「何のために」を明確にする

チームがバラバラに動くのは“やり方”ではなく“方向”が違うから

リーダーになって最初に感じる壁のひとつが、
「チームの動きがバラバラになる」ことです。

同じ会議に出て、同じ話を聞いているはずなのに、
メンバーによって受け取り方が違い、結果的に行動もバラバラ。

多くのリーダーは「もっと指示を明確にしよう」と考えますが、
問題は“やり方”の違いではありません。
チーム全員が**「何のためにやるのか」という目的を共有できていない**ことが本質です。


目的共有の3ステップ

  1. 「何をやるか」より「なぜやるか」を語る
     目的は“上から与える”のではなく、一緒に描くことが大切。
  2. ゴールイメージを言語化する
     「売上を上げよう」ではなく、「お客様に“またお願いしたい”と思ってもらえる状態にしよう」など、
     “見えるゴール”を共有する。
  3. メンバー自身の目的とつなげる
     チームの目的と個人の成長目的が重なる瞬間、
     モチベーションが一気に上がります。

📚 関連書籍:『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)

目的を明確にする力を高めたい人には、この本が非常におすすめです。
特に第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、
まさに“目的を共有するマネジメント”の核心。

リーダー自身がどんな未来を描いているのかを語ることで、
メンバーもそのビジョンを自分ごととして受け取るようになります。


次につながるヒント

目的を共有しても、最初から全員が完璧に動くわけではありません。
次の壁は、「任せたいけど不安」「自分でやったほうが早い」という“任せる勇気”です。

次の第3原則では、チームが自ら動き出すための“任せ方”を掘り下げていきましょう。

第3原則:任せる勇気を持つ ― 「やる気」は任せてこそ育つ

「自分がやったほうが早い」――その一言が、チームの成長を止める

新人リーダーが最も悩むのが、「任せ方」です。
「自分でやったほうが早い」
「ミスされたら困る」
「結局、最後は自分がやることになる」

そんな思いから、気づけばチームの仕事を全部背負っている
頑張っているのに空回りし、疲れ果ててしまう。
多くの新人リーダーがこの“任せられない壁”にぶつかります。


なぜ「任せる勇気」が必要なのか

リーダーがすべてを抱えてしまうと、
メンバーは「頼られていない」「信じられていない」と感じ、
主体性を失っていきます。

逆に、任せることは「あなたを信じている」というメッセージです。
任された人は、自分の責任と役割を自覚し、成長するチャンスを得ます。

つまり、「任せること」自体が最高の育成なのです。


任せるための3つのステップとポイント

  1. 目的と期待を伝える
     「この仕事、お願い!」ではなく、
     「この仕事は○○の目的で、あなたに期待しているのは△△」と伝える。
     背景と期待値が伝わることで、主体的に動けるようになります。
  2. “任せっぱなし”にしない
     任せる=放置ではありません。
     必要なタイミングでフォローし、困ったときに相談できる環境を整える。
     これが、任せた側の責任です。
  3. 結果ではなく“挑戦”を評価する
     失敗を恐れずにチャレンジできる空気をつくる。
     「やってみてくれてありがとう」と伝えることで、次への意欲が生まれます。

📚 関連書籍:『1分で話せ』(伊藤羊一)

任せるには、「伝える力」が欠かせません。
短く、明確に、意図が伝わるコミュニケーションができれば、
メンバーは迷わず動けるようになります。

『1分で話せ』は、リーダーが“任せ上手”になるための言葉の使い方を学ぶのに最適な一冊です。
「どう伝えるか」で、チームの動き方は驚くほど変わります。


次につながるヒント

任せる勇気を持てたとしても、
時に「成果が出ない」「メンバーが思うように成長しない」と感じることもあります。

そんなときに大切なのは、
結果ではなく“プロセス”を見る視点です。

次の第4原則では、リーダーとして“人の成長を見抜く力”をテーマに掘り下げていきます。

第4原則:成果ではなくプロセスを見つめる ― 評価ではなく成長を見る

「結果ばかり見てしまう」新人リーダーの落とし穴

リーダーになったばかりの頃は、
どうしても「結果=成果」に目が行きがちです。

・数字が伸びたかどうか
・期限に間に合ったかどうか
・上司に評価されるかどうか

もちろん、成果は大切です。
でも、リーダーの役割は結果を追うことではなく、結果を“生み出せるチーム”を育てること
だからこそ、リーダーが見るべきは「結果」よりも「プロセス」なのです。


結果だけを見続けると、チームは疲弊する

結果だけで評価され続けると、人は守りに入ります。
「ミスしたら怒られる」「できなければ評価されない」と思えば、
新しい挑戦を避けるようになってしまう。

結果よりも**“どう考え、どう動いたか”というプロセス**を見てあげることで、
メンバーは「このリーダーは自分の努力を見てくれている」と感じ、安心して行動できます。

リーダーの視線が“プロセス重視”になると、チームの空気は一気に柔らかくなります。


プロセスを見る3つのポイント

  1. 「行動の背景」を聞く
     結果だけでなく、「なぜそうしたのか?」を丁寧に尋ねる。
     そこに本人なりの意図や努力が見えてくる。
  2. 「改善の一歩」を認める
     完璧を求めるより、「前より少し良くなった」に注目する。
     小さな成長を言葉でフィードバックすることが、次の行動を後押しします。
  3. 「一緒に振り返る」習慣をつくる
     定期的な1on1などで、成功・失敗を一緒に整理する時間を持つ。
     リーダーが一緒に考えることで、メンバーは自分のプロセスを客観視できるようになります。

📚 関連書籍:『フィードバック入門』(山本真司)

プロセスを見つめる上で欠かせないのが「フィードバックの質」です。
『フィードバック入門』では、評価ではなく成長を促すフィードバックの考え方が、
実践的な事例とともに紹介されています。

「どう伝えれば相手の心が折れないか」「どうすれば行動が変わるか」――
この視点を持つだけで、リーダーとしての言葉の使い方がまったく変わります。


次につながるヒント

プロセスを見つめるリーダーは、メンバーの小さな成長にも気づけるようになります。
ですが、チームの状態が不安定だと、
どんなに良いフィードバックをしても成果に結びつかないことがあります。

そのカギになるのが、「自分を整える力」
次の第5原則では、
チームの雰囲気を左右する“リーダー自身のマネジメント”について掘り下げていきます。

第5原則:自分を整える ― リーダーは“鏡”である

チームの空気は、リーダーの心の鏡

チームがピリピリしているとき、
その原因が必ずしもメンバーにあるとは限りません。

リーダー自身が焦っていたり、余裕を失っていたりすると、
その空気は自然とチームに伝わります。

逆に、リーダーが落ち着いていると、
どんなに大変な状況でもチームは不思議と前向きに動けるもの。

リーダーの心の状態は、チームの状態にそのまま映し出される。
だからこそ、リーダー自身を整えることが、最も大切なマネジメントなのです。


自分を整える3つの習慣

  1. 感情を“観察”する
     イライラしたとき、すぐに反応せず「今、自分は焦っているな」と客観視する。
     感情に飲まれず、一歩引いて見つめる癖をつけることで、冷静な判断力が育ちます。
  2. リーダーの“軸”を持つ
     自分が大切にしたい価値観(例:誠実さ、挑戦、学び)を明文化しておく。
     軸があると、どんな場面でもブレずに判断でき、チームに安心感を与えます。
  3. 心をリセットする時間をつくる
     朝の10分、昼の散歩、夜のノート時間――
     短くてもいいので、自分をリセットできる“整える時間”を持つこと。
     リーダーは常に誰かに見られているからこそ、心の余白が必要です。

📚 関連書籍:『成長マインドセット』(吉田行宏)

リーダーとして自分を整えるために、
最も本質的な問いを投げかけてくれるのがこの一冊です。

「なぜ成長するのか?」「成長とは何か?」――
この問いに真正面から向き合うことで、
“自分を整える”ことの意味がより明確になります。

リーダーが自らの成長に向き合う姿勢を持つと、
その背中がチームに伝わり、部下の成長意欲を自然に引き出します。

成長とは、他人との比較ではなく、昨日の自分を超えること。
この本は、その考え方を実践レベルで導いてくれます。


まとめ:5原則を通して見えてくる「リーダーの本質」

マネジメントとは、誰かをコントロールすることではなく、
信頼を築き、目的を共有し、任せ、見守り、自分を整えること。

この5つの基礎原則を意識するだけで、
チームの空気も、リーダー自身の心も、少しずつ変わっていきます。

完璧である必要はありません。
リーダーもまた成長の途中。
だからこそ、一歩ずつ、誠実に積み重ねていけばいいのです。

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